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令和7年度料理人コンクール審査結果

[投稿日]2026年03月06日

広島県では、食文化の発展と「おいしい!広島」のブランドイメージ向上のため、若手料理人を対象とした料理人コンクールを2014年から継続して実施している。

 

2026年にも去る2月20日、西洋料理の技能を競う「第12回ひろしまシェフ・コンクール」と、和食の料理人を対象とした「第11回ひろしま和食料理人コンクール」が、広島酔心調理製菓専門学校にて開催された。

 

今回から初の取組として、和・洋ともに共通のテーマとして「平和がもたらす豊かな恵み」を設けられた。戦後80年の節目に、各料理人が考える平和やそれによる恵みを、食によって表現する。

いずれも応募資格は、令和7年4月1日現在において40 歳以下の者で、過去に当コンクールの最優秀者に選ばれていない者。広島県出身者に限らず、全国から参加できる。

 

成績優秀者は、国内外の料理店などで修業することができるほか、修業にかかる費用については「広島県調理師等研修資金」制度を利用して県から無利子で貸付を受けることができる。一定条件によって返済も不要となるため、若手料理人にとっては成長の足掛かりとなる貴重な機会となるはずだ。コンクール後、県などが実施する「広島の食の魅力」を発信する国内外でのイベントにも参加できる。

 

ひろしまシェフ・コンクールの今回の選手一覧と審査員は以下。

【第12 回ひろしまシェフ・コンクール 選手一覧(順不同、敬称略)】

ホテル虎ノ門ヒルズ 田村裕都

ザ・リバーサイドテラス広島ツリーズスクエア 小林未菜美

フランス料理リュカ 寺杣夏音

KOTOWA 奈良公園 Premium View 増田梨乃(当日欠席)

ザ・リバーサイドテラス広島ツリーズスクエア 久保田曜子

グランドプリンスホテル広島 寺迫和志

ANAクラウンプラザホテル広島 濵田将太

広島東洋カープ  西土拓勝

【審査員(順不同、敬称略)】

●面接審査

リーガロイヤルホテル広島 豊田光浩

桜下亭 川根靖男

広島県飲食業生活衛生同業組合 もみじ支部支部長 山口数広

 

●実技審査

日本ホテル㈱取締役統括名誉総料理長 中村勝宏

レストラン タテルヨシノ 野建

オフィスオオサワ 大沢晴美

ル・トリスケル 勇崎元浩

ラ・セッテ 北村英紀

ル・ミロワール 中山孝雄

●特別審査員 パトリック・ジェフロワ

 

当日の調理時間は170分。時間内に、テーマに沿った前菜とメイン1皿ずつを4名分完成させる。持込食材の原価は4人分で合計5,000円以内。メインには比婆牛の「モモ」を使用することが条件とされた。課題食材の比婆牛については、プレエントリーした人に試作用の比婆牛が送られた。

 

審査は完成されたものだけでなく、調理中の厨房審査も行われる。審査員たちが目を光らせる緊張感の中、一斉に調理がスタートした。

 

食材に包丁を入れ、火入れをし、ソースを作る。火加減、さじ加減など細部まで調整しながらきびきびと調理が進められる。最も集中力を要する工程の一つが盛り付けだ。見た目に美しく、考え抜いたコンセプトを伝えられるよう、器に思いを描いてく。

    

審査員は評価シートを手に、厨房の中を歩きながら各選手の調理の様子をチェックする。調理中だけでなく、合間の調理器具の整理中などにも目を離さない。

 

ある審査員に話を聞くと、「厨房審査では調理台をキレイに使えているか、調理器具の衛生管理は行き届いているかなどがチェックされます。食材の廃棄された部分を見て、無駄なく使えているか見ている審査員もいるようです」と語る。

 

選手はこの日までに何度も練習を重ねているはずだが、普段とは違う調理環境に戸惑い、制限時間内にメインを完成させることができなかった選手もいた。

 

170分間の奮闘の末、仕上げられた料理が選手たち自身によってすばやく試食審査の会場に運ばれる。審査員たちは、まずは料理をさまざまな角度から眺め、ひとさじずつじっくりと味わっていく。

 

審査のポイントについて、「広島の食材を生かした料理ができているかを中心に審査しました」と大沢氏。また、「フランス料理は繊細で美しい見た目も大切です。やはりまずは、見た目で驚かせてほしい。その点、今回は前菜のプレゼンテーションがきれいなものが多く、うれしく思いました。繊細で新しい感覚を取り入れる努力をされているのが伝わってきました」と語る。

 

吉野氏は、「広島には良い食材がたくさんあるが、まだまだ料理人と生産者の間に距離があるように感じます。産地に赴き、生産者の話を聞いて、良い食材との出会いを大切にしてほしい」と指摘した。

 

完成した料理はこちら

 

ひろしま和食料理人コンクールの選手一覧と審査員は以下。

【第11回ひろしま和食料理人コンクール実技審査 選手一覧(順不同、敬称略)】

ANAクラウンプラザホテル広島 坊迫真浩

GOTENPO 川金陽進

かなわ 中島洋介

錦水館 まめたぬき 清水颯太

AKAI 田中歩武

かなわ 三木紀葉

 

【審査員(順不同、敬称略)】

●面接審査

稲茶 下原一晃

まめたぬき 清水誠

 

●実技審査

全国日本調理技能士会連合会専務理事 長島博

広島県日本調理技能士会会長 川村満

日本料理喜多丘 北岡三千男

料理評論家 山本益博

かなわ 戸田豊

半月庵 加藤隆宏

ホテル広島サンプラザ 好本和夫

●特別審査員

JAL 出頭美由紀

ANA 石井沙里絵

 

課題は、「平和がもたらす豊かな恵み」というテーマに沿った酢の物、椀物、瀬戸内さかなの揚げ物の計3品を4人分。いずれの料理にも、広島県産の野菜と瀬戸内の魚介を積極的に使用することが求められる。

 

シェフ・コンクール同様、調理時間は170分。3品ずつと品数がある分、それぞれのバランスも考慮する必要がある。

 

食材の下ごしらえを行い、出汁をとり、魚を捌く。和食もまた、食材の無駄は許されない。求められるのは、少しの時間もロスしない身のこなしと、正確を極めた手さばきだ。

 

特に魚は、包丁の入れ方一つで、見た目も味も変わってしまう。集中して食材に向き合い、慎重に調理を進める選手たちの目が、このコンクールにかける意気込みを表している。

  

厨房の緊張感もさることながら、試食審査ではひと品ずつ試食を終えた審査員たちによる意見交換も活発に行われていた。「この組み合わせは面白い、勉強になった」「もっとこうすればより良かったのではないか」など、率直な意見が飛び交い、審査員たちの熱量の高さが伺えた。

 

完成した料理はこちら。

 

今回の料理人コンクールには、横田美香県知事も視察に訪れた。「今回、和食では11回目、洋食では12回目のコンクールの開催となりました。実力のある若手の料理人が腕を競い、全国でも大変実力のある方々に審査していただく取り組みを、10年以上続けてきたということは、広島にとって大きな財産だと思っています。広島の食材をふんだんに使い、食材の魅力をアピールしているという点では、野菜や畜産物の生産者の皆さんと交流し、発信する機会にもなります。若い料理人の方々がチャレンジすることで、食材のさらなる向上にもつながるのではないでしょうか。こうした機会を大切にし、食のレベルを上げることが、広島の県の力になると信じています」(横田知事)


また、ゲスト審査員のJALの出頭氏は、「質の高い、皆さんの心意気を感じるコンクールでした。食材に合った調理方法で繊細に作られており、季節感と広島らしさを感じることができました」とコメント。

同じくゲスト審査員であるANAの石井氏は「調理するところから拝見し、大変勉強になりました。いつかANAの機内で広島のみならず、日本を代表する料理人となられた皆様の料理を、提供できる日を楽しみにしております」と語った。

 

 

第12 回ひろしまシェフ・コンクールの優勝者は、ザ・リバーサイドテラス広島ツリーズスクエアの小林未菜美さん。

「1位を取れると思っていなかったので、本当に嬉しいです。今回、この料理コンテストで、仕事以外のことで料理と向き合う中で、誰かのことを思いながら料理を作ることがすごく楽しかったです。私はやっぱり、料理することが大好きなんだな、と改めて感じることができた、大切な時間となりました。料理人としてはまだまだたくさん課題もあったコンテストなので、これからもっと一人前になれるように精進してまいりたいと思います」


2位はホテル虎ノ門ヒルズの田村裕都さん、3位は広島東洋カープの西土拓勝が選出された。

 

第11回ひろしま和食料理人コンクールの優勝者は、かなわの中島洋介さん。

「今回、同じ職場の三木君と共に何度も何度も練習し、お互いに意見を出し合い、先輩方にもいろいろ教わりながら、精一杯頑張ってきました。これからも精進し、これから料理人になりたいという若い子に勇気を与えられるような料理人になりたいと思います」

2位にはかなわの三木紀葉さん、3位には錦水館 まめたぬきの清水颯太さんが選ばれた。

 

講評として、シェフ・コンクールの審査員を務めた日本ホテルの中村氏が以下のように語った。

「前菜は皆さん、広島のテロワールからもたらされた自然の恵みに、知恵と工夫によって一つの皿に仕上げられていました。メインに使われた比婆牛は、赤身で深いコクがあり、フランス料理と非常に相性が良い食材だと感じています。今回、皆さんの料理でも、比婆牛の良さを生かし、付け合わせを含めて工夫されていました。ただ、もう少し思い切って、ソースにこだわっても良かったなという印象です。とはいえ今回、皆さんが前菜も含め、コンクールにふさわしい料理に仕上げていただけたのではないかと思いました。これを機に、今後もご自分の料理に向き合い、すばらしい料理人になってもらいたいと思います」

 

和食料理人の審査員を務めた料理評論家の山本正博氏からは、次のような激励が贈られた。「料理人が食材から美味しいものを作ってやるぞという気持ちが出れば出るほど、その食材の持っている命が消えてしまいます。素材を大切にする和食では、まずおだしを引くということを、再度見つめ直すことも大切なのではないでしょうか。また、美味しいものを知らない人に、美味しいものは作れません。皆さんどうぞ、一生懸命、美味しいもの食べてください」

 

最後に、特別審査員のパトリック・ジェフロワ氏がこう締めくくった。

「まず、今回のコンクールによく参加してくださいました。コンクールに参加すること自体、大変な勇気が必要です。そのことに敬意を表したいと思います。また、今回のテーマは平和であり、広島でないとできないすばらしいテーマでした。フランス語で言うとキュイジーヌは、キュイール、『火を入れる』という動詞から来ています。皆さんのような料理人が火を入れることで、食材の旨味が引き出されます。皆さんはそうして料理を造り上げ、味を創りあげていく立場にいるのです。近い将来、広島の料理人として皆さんに喝采を送れる日が来ることを心待ちにしております」

講評後の交流会では、選手たちが自分の料理を前に審査員から意見をもらっていた。審査員側から「この料理を作った子は?呼んできて」と声がかかることもあり、一つひとつの料理に対する具体的な意見やアドバイスが積極的に交わされた。

 

審査員から「入賞はできなかったけど、前菜はあなたの料理が一番良かったよ。これからも期待しているから、ぜひ頑張ってください」と激励され、思わず涙ぐむ選手も。選手同士や選手と審査員が垣根なく交流する、良い機会となったようだ。

 

両コンクールは、来年も開催予定。今後も若手の発掘・育成を続け、「おいしい!広島」を料理人らと共創する意向だ。

 

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