
日本酒の主な原料は「水」「米」「麹」ですが、日本酒造りの工程は、米の準備を整える「原料処理」からはじまります。
日本酒の「原料処理」4つの工程
[精米]
玄米を精米機にかけて丁寧に磨くことで、日本酒の品質を低下させる部分を取り除きます。
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[洗米]
精米した米についている糠(ぬか)や米くずなどをきれいに洗い流します。
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[浸漬]
精米した米を水に浸します。精米歩合が低くなるほど水分の吸収が早くなるため、ストップウォッチで計りながら、秒単位で作業します。
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[蒸米]
米を蒸すことで、麹の酵素による糖化作用を受けやすくなります。蒸しあがった米は、麹米と掛米として、それぞれ酒母用と仕込み用に使われます。
米を削る作業の「精米」について、もう少し詳しくみていきましょう。
[精米] 精米度合いで変わる、味わいや香り
「精米(せいまい)」とは、酒米の中心部である「心白」を残しながら、米の表面を削り落として磨きをかけることを言います。削るといっても酒米を半分に割るということではなく、ゆで卵の白身を削り取って黄身だけにするイメージの削り方です。(米の心白が黄身に相当)
米に含まれるタンパク質は、麴などの酵素によって分解され旨み成分となりますが、多すぎると”くどく”感じられます。そのため、タンパク質や脂肪を多く含んでいる米の外側部分を糠(ぬか)として削ることで、香味の良いお酒になります。
日本酒のラベルで見かける、精米歩合とは
精米の割合を「精米歩合」と言います。食用米の精米歩合は90%程度ですが、普通酒の精米歩合は70%です。さらに、大吟醸酒は50%以上、削ります。つまり、日本酒のラベルに「精米歩合50%」と書いてあれば、米の半分を削り落としているということです。
中には、精米歩合30%という大吟醸もあります。米の70%を取り除くことになりますが、雑味のない上品な味わいと、華やかでフルーティーな香りを生みだします。
精米には、直径数ミリの米を半分以下に削る高度な技術が要求されます。
江戸時代は水車を使っていたため、85%くらいしか精米できませんでしたが、現在では、広島には精米機のトップメーカーもあり、より旨い日本酒をつくるために欠かせない精米技術が確立されています。
なお、多くの蔵は精米を専門会社に委託していますが、中には自家製米を行っている蔵もあります。削る量によりますが、精米は1~4日ほどかかります。
[蒸米]米を蒸す意味と役割
米は、糠などを洗い流したあと、適度な水分を吸わせ、蒸して使います。
日本酒は「寒仕込み(かんじこみ)」といって冬の寒い時期に造ります。昔の洗米は、冷たい水の中でざるを使い、素手で洗っていましが、最近は、強い水流を利用して米をやさしく丁寧に洗う洗米機が使われています。
水洗いした米は、一定時間、水に漬けて吸水させます。これを「浸漬(しんせき)」と言います。吸水時間は、米の精米歩合や品種によって異な ります。吸水させた米は、一晩布で包み、品質を均一化してから、次の作業である「蒸し」の工程に入ります。
蒸しの工程には、こしき(大型の蒸し器)や連続蒸米機が使われます。
蒸米は、蒸気で一気に加熱するので、おこわのように硬くなります。一般的に食べるごはんの水分量が60~70%なのに対し、蒸米は30~40%の割合です。
お米を蒸すことで、米のデンプン質が消化しやすいαデンプンに変わり(α化)、麹菌によって糖化されやすくなります。また、蒸して加熱することにより殺菌が行われるので、それ以降の日本酒の製造工程が安全に進められるメリットもあります。
蒸米が悪いと、その後の麹づくりや醪(もろみ)づくりにも影響を及ぼすため、「蒸米」は日本酒づくりの重要な作業工程の一つです。
麴造り(こうじづくり)においても醪造り(もろみづくり)においても大切なことは、蒸しあがった米が団子のようにならずに一粒一粒ばらばらになることです。
コシヒカリのような食用米は粘りが強くお団子のようになるため、日本酒造りにはあまり好ましくありません。
日本酒の製造は米が実った、秋以降。10月から翌年にかけて一気に仕上がっていきます。
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