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海軍御用達の日本酒として認められた確かな品質 – 三宅本店

広島の酒

[投稿日]2021年03月22日 / [最終更新日]2021/03/31

かつて軍港として栄えた呉の市街地にある蔵元が、株式会社三宅本店です。呉市は広島市、福山市に次ぐ広島県第3の都市。1889(明治22)年に呉鎮守府が開庁され、明治36(1903)年には呉海軍工廠が誕生しました。戦前は戦艦大和などの軍艦が建造され、海軍の拠点として栄え、ピーク時には人口40万人に達するほどでした。
三宅本店を代表する銘柄は「千福(せんぷく)」です。その確かな品質が認められ、海軍御用達の日本酒として全海軍基地に納入されていました。軍港、呉の発展とともに千福の日本酒も発展していったのです。
三宅本店の歴史は古く、1856(安政3)年に焼酎、味醂(みりん)、白酒の製造元、河内屋が前身となります。1902(明治35)年から日本酒の醸造を手がけるようになり、1925(大正14)年に三宅本店として会社を設立しました。
千の福と書くおめでたい「千福」の酒銘は、初代三宅清兵衛の母親であるフクと、妻の千登の名前から一文字ずつとり、命名したもの。「女性は内助の功を称えられるばかりで、酬いられることが少ないのは気の毒である。せめて、酒銘だけでも女性の名前を用いたい」という清兵衛の思いが込められています。

広島県産の復刻米「神力」で醸した低精米の生酛造り


三宅本店では現在、2つの蔵で2人の杜氏が酒造りを行っています。
創業当時から数えて12号目の「呉宝庫(ごほうくら)」を瀬戸富央杜氏が、13号目になる「吾妻庫(あづまぐら)」を大名泰輔杜氏がそれぞれ担当しています。
仕込み水は、三宅本店の敷地内にある3つの井戸から汲み上げた井戸水です。呉の町を見下ろすようにそびえる灰ケ峰(はいがみね)の伏流水が、地下水として三宅本店の井戸に流れこんでいます。豊かな水量に恵まれた良質の中軟水です。
酒米は広島県産の米を中心に、八反錦や千本錦などを特定名称酒に、普通酒にも地元の酒米を使用しています。
中でも注目したいのが復刻米の「神力(しんりき)」です。
「神力」は、明治から大正時代にかけて三宅本店で使っていた酒米。栽培が難しいことから、現在はあまり見ることがなくなっていました。2006(平成18)年に、わずか5gの種もみを育てることから始め、安芸高田市高宮町の契約農家の協力を得て、何年もかけて育成してきました。
復刻させた明治・大正時代の酒米を使うのであれば、当時の精米歩合に近い85%で精米し、当時の主流であった「生酛造り」で仕込めば、よりうまい酒になるのではないか──。
そう考えた瀬戸杜氏が蔵人たちと試行錯誤の末、醸した日本酒が「千福生もと純米無濾過原酒」です。
発酵にかかる時間が速醸酛(そくじょうもと)は10日程度なのに対し、自然の乳酸菌を発生させて仕込む生酛造りは、酒母ができるまでおよそ1カ月を要します。丁寧に時間をかけて発酵を行うので、生酛ならではの濃厚な味わいの日本酒に仕上がります。
まるで熟した果実のような甘酸っぱい香りがふんわりと漂い、ふくらみのあるうま味としっかりとした酸味が特長です。香りや味の強いチーズや味の濃い素材と相性が良く、冷温やオンザロック、ぬる燗など、好みの温度帯で楽しむことができます。
刺激的な強い酸味の後に複雑に絡みあううま味・甘味・渋味・苦味は、日本酒にこだわりのある人に支持されており、国内の数々の賞にも輝いてきました。
2012年の『スローフードジャパン燗酒コンテスト』で極上燗酒部門の金賞受賞はじめ、地酒大show清酒部門のチーズ料理とあわせたい!清酒部門、2017 Wine Tasting Competitionのワイン部門、『全国燗酒コンテスト2019』でプレミアム燗酒部門において、いずれも金賞を受賞しています。
食中酒として、濃く深い味わいをゆるゆると楽しみたいお酒です。
「千福生もと純米無濾過原酒」は、フランスでも好評を得ています。
ワインも日本酒も同じ醸造酒ですが、ワインがブドウをそのまま原料として使うのに対し、日本酒は原料米を削って使う点に違いがあります。「米を削る=精白」の度合いにより日本酒の味も変わってくるため、純米酒の中でも低精米のお酒の味わいを知ってもらうのに「千福生もと純米無濾過原酒」は最適なお酒。広島の酒米、地元の水、人、天然酵母で仕込む しっかりとした純米酒として注目を集めています。
「千福生もと純米無濾過原酒」の商品ページはこちらから

大正期から先取の気質で酒造メーカーとして存在感を放つ

大正期には1万5000石(ごく)を超える石高(こくだか)を誇った三宅本店では、数多くの蔵を保有していました。それを象徴するのが、1924(大正13)年に9号蔵として建てられた「大正庫(たいしょうぐら)」です。
※石高 酒蔵の生産量を示す単位で、生産規模を知る目安になる。一石(いっこく)=一升瓶100本分=180リットル。
日本酒を冬に仕込む寒造りが主流だった当時、夏季でも醸造が可能な「四季醸造蔵」は画期的で、白レンガと鉄筋コンクリートの3階建ての蔵は時代の最先端をゆくものでした。
1945(昭和20)年の呉大空襲で本社社屋や酒蔵などの大半を焼失しましたが、焼け残った明治庫と大正庫を修復して再起。1946(昭和21)年には「昭和庫(しょうわぐら)」を、続いて1953(昭和28)年には資金を投じて、初代「呉宝庫」を完成させています。
1988(昭和63)年完成の「吾妻庫」が、三宅本店の数ある蔵の中で13号めにして、最新の醸造蔵です。1日最大1万8000リットルの製造能力があり、主力銘柄「千福」の80%を醸造しています。その後、「呉宝庫」は2001(平成13)年に最新鋭の吟醸蔵としてリニューアルし、現在、「吾妻庫」と「呉宝庫」の2蔵が三宅本店の酒造りの心臓部として稼働しています。
建物や環境だけでなく、2001(平成13)年には品質管理・保証の国際規格「ISO9001」を取得。2013(平成25)年から、社員として杜氏や蔵人に育成する社員制を導入するなど、品質重視の酒造りを行うための体制も整えてきました。
このように大正、昭和、平成にわたり先取の気質で、蔵元というよりも酒造メーカーとして呼ぶにふさわしい取り組みを続けてきたのが三宅本店です。
2001(平成13)年の芸予地震で「大正庫」と「昭和庫」は損傷し、現在は使われていませんが、大正庫の白レンガの一部は、今もモニュメントとして残されています。
また、2003(平成15)年に社内の敷地内にオープンした新・製品工場「酒工房せせらぎ」、2006(平成18)年に直営店「ギャラリー三宅屋商店」は古い蔵を活用しています。
「酒工房せせらぎ」は蔵を改装し、日本酒の充填やラベル貼り、箱詰め作業など、商品ができるまでの流れを見学できるガラス張りの見学通路を設けています。館内には歴代の蔵元のコレクションや賞状を展示。「せせらぎホール」の内装には昭和庫の柱や梁などが使われています。
※新型コロナウイルスの国内感染拡大の影響に伴い、工場見学は休止中、店舗は平日営業
三宅本店では幾つもの蔵が、時代とともに姿を変え同社の歴史を後世に伝えているのです。

音楽、ゲームなど異業種とのコラボレーションで広げる日本酒の可能性

近年の新たな動きとして、異業種とコラボレーションした日本酒の企画・販売が挙げられます。
そのひとつが、2019(令和元)年にタワーレコードから発売されたロックバンド・KISS公認の日本酒「KISS SAKEシリーズ」です。
世界のロック・アーティストと日本の酒造メーカーがコラボレーションする企画の1本として、三宅本店が製造したのが「ROCK AND ROLL OVER」。
ボトルの塗装には「MAZDA RED」と呼ばれる、マツダ車両のメタリックな赤を使用しています。KISSのロゴ入りのオリジナルデザインのラベルで、これまでにない斬新なデザインの日本酒が誕生しました。
2020年には、世界的な人気を誇るゲーム、パックマン40周年記念日本酒を販売。
1980年に発売されて以来、「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス記録に認定されたパックマンとのコラボで、三宅本店が厳選した6種類の日本酒をラインナップ(5種の純米酒と1種類の純米吟醸酒)しています。ボトルは、6色のメタリック塗装となっており、パックマンやゴースト達のキャラクターのラベルになっています。
「パックマン日本酒シリーズ」の商品ページはこちらから
このほかにもゲーム「龍が如く」の3大キャラクターをオリジナルラベルとしてデザインした純米酒シリーズ、人気コスプレイヤーのえなこさん、似鳥沙也加さん、宮本彩希さんの3人の図柄をラベルにあしらったスパークリング日本酒「泡萌酒」シリーズなども販売中です。
また、呉の観光スポットとして人気の「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」でのみ販売されている「大和ミュージアム純米」は、三宅本店の商品です。
「龍が如く日本酒」の商品ページはこちらから
「泡萌酒 720ml×3種セット」の商品ページはこちらから
音楽、ゲーム業界などの異業種とのコラボは、これまで日本酒になじみがなかった層にも日本酒のおいしさ、楽しみを知ってもらうきっかけづくりとなっています。時代と歩みをともにしながら、柔軟な姿勢で、挑戦をいとわない三宅本店の姿勢が感じられます。


株式会社 三宅本店
安政3年(西暦1856年)創業
呉市本通七丁目9番10号
http://www.sempuku.co.jp/

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