利き酒とは、五感を使って、日本酒の香味特性を把握することを指します。
利き酒師という認定試験もあります。利き酒師にならないまでも、日本酒愛好家として自分の好みに合うお酒を判別できるようになれば、日本酒をより一層おいしく味わい、楽しむことができます。では、どうすればよいのでしょうか。利き酒のコツを紹介します。
和らぎ水をお忘れなく
利き酒をするうえで大切なことは、経験を重ね、感じたことを言葉で伝えつたえられるようになることです。
とはいえ、利き酒のし過ぎは、嗅覚や味覚が麻痺して、違いが分からなくなるので注意が必要です。
利き酒をするときはもちろんのこと、飲食店や自宅で数種類の日本酒を楽しむときも、水を飲みながら行うことをおすすめします。
「和らぎ水(やわらぎみず)」をご存じですか? 日本酒を飲みながら飲む水のことです。お酒の合間に和らぎ水を飲むことで、酔う速度が緩やかになります。また、和らぎ水で一度、口の中をスッキリさせれば舌がリセットされ、続けてお酒を飲むよりもお酒のおいしさをより味わえる利点もあります。
利き酒をするときに
本格的に利き酒をするときに使われるのが、そこに青い二重丸が入った蛇の目の利き猪口(ききちょこ)です。香りを重視する場合は、ワイングラスが最適です。
利き酒上手になるには?
利き酒の経験を重ねて、日本酒の味わいや特徴を体で覚えていくことです。
自分の感じたことを口に出したり、書き留める習慣をつけると記憶に残りやすいです。日本酒好きな友人や知り合いと意見交換をすることで、人はどのように感じているかが分かりわかり、自分の感覚を客観的にとらえる勉強になります。利き酒上手になるために日頃から意識しておくとよい2つのポイントを挙げます。
●日本酒を飲むときに意識するとよい4つの「知る」
・自分が好きなタイプ、嫌いなタイプの日本酒を自覚する。
・良い酒、悪い酒の違いを知る。
・特定名称酒など日本酒の特徴を知る。
・日本酒の生産地の風土を知る。
●自分の基準を持つための4つの「心掛け」
・香りと味の種類や強度を見分ける感覚を磨く。
・酒質を総合的に判断できるように心掛ける。
・評価を端的に表現できるようにする。
・専門家や熟練者の評価を学ぶ。
利き酒をするときに押さえるべき3つのポイント
チェックポイントは「外観」「香り」「味わい」の3点です。
①外観
飲む前に日本酒の色合いと透明度をチェック!
無色透明、やや無色透明、淡い黄色、黄色、茶色、琥珀色 のいずれの色かを判断します。チェック!
②香り
どんな食品に例えられ、その香りの特徴を端的に表現できるかをチェック!
日本酒の香りは基本的に、次の3つに大別されます。
・酵母に由来するフルーツや花のような吟醸香
・原料の米や米麹に由来する原料香
・時間の経過とともに生じる熟成香
その香りが甘味を思わせるのか、酸味を思わせるのか、渋みや苦味なのか、うま味なのか、を捉えます。
さらに、より具体的にどんな食べものに近い香りかを表現してみましょう。
例えば「マスカットのような華やかな香り」「ヨーグルトのようなまろやかな香り」といった具合です。
③味わい
最初の「飲み口」、次に「舌にのせた時」の味わいの順に段階的に判定してみましょう。
飲み口は、やわらかい、きめ細かい、なめらか、スムースズ、厚みのある、まったりとした、といった一口めの食感をチェック!
次に、日本酒を舌にのせた時の味わいはどうでしょうか? うま味成分が多いお酒は濃醇なフルボディ、少ない場合は淡麗なライトボディと表現することができます。
味覚には「甘・辛・酸・苦・渋」の五味があるほか、うま味、舌触りなどを舌全体で感じるため、舌の上にお酒を広げるようにしてじっくり味わうことが大切です。
利き酒をするときは。日本酒の4つのタイプを判断基準にするとよいでしょう。
・薫酒:果物や花のようなフルーティーな香りがする。
・爽酒:香り、味わいともに要素は少なく、シンプル。
・醇酒:原料の米、米麹に由来する香りが強く、うま味成分が多い。
・熟酒:黄色や茶色の色みを持ち、熟成香が強く、凝縮感の高い味わい。
料理も日本酒をときに引き立て、日本酒によって料理が際立つという相乗効果があります。その地域特有の郷土料理と同じ地域で醸される日本酒は相性抜群です。料理を食べながら、適量をゆっくりと飲むことが日本酒を味わうコツです。
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