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フランス地方都市・サンナゼールで日本食材店をスタート。反応は?

広島の酒

[投稿日]2021年03月10日 / [最終更新日]2021/03/22

2019年よりサンナゼールにて日本食材店を開いた広部直子さんに地方都市での日本食及び日本酒のことについて伺いました。

広部 直子さん
2005年よりフランス在留。
フリーランスで日本食材のフランスへの食材販売活動を経て
2019年よりサンナゼールにて日本食材店をスタート。

広部さんが日本食材店を立ち上げされたきっかけを教えてください。

フランスでの日本食材販売サポートの仕事をする中で、日本食材のヒストリーを含めて販売できるような販売拠点がパリの他にないことは、ビジネスチャンスになるのではと考え、一年強のテスト販売を経て2019年11月にサンナゼール市に店舗を開店しました。

サンナゼールはどんな町ですか?

フランス西部、ナントの西に位置する人口8万人の町です。近隣の町を含めると20万人の経済規模になります。大西洋に面していているので新鮮な魚介類が豊富ですし、海の幸と山の幸を掛け合わせた料理に抵抗がない土地柄でもあります。
従来造船や飛行機組み立てといった重工業中心の街でブルーワーカーが多く住んでいましたが、近年は工業のIT化の流れで技術者も増えてきており、フリーランスの人たちも移住してきています。適度な規模の港町なので、閉鎖感はなく、外国のものにもあまり抵抗がなく、むしろ好奇心を持って受け入れてくれる印象があります。

どんな層のお客様が多いですか?

日本に行ったことがある人や何らかの形で日本と関係のある人(30代以上)、日本大好き(20代)、日本文化への尊敬の念(60代以上)と、基本日本文化へのポジティブなイメージを持った人が多くいらっしゃります。柔道や合気道など、武道をされていらっしゃる方々、日本の本が好き、お茶が好きなど、少しでも日本に興味のある方も気になって覗いてくださる方が多いですね。あとは目新しい物好きな方々や、高級食材店というお店の性質上、良質なものを購入したい方々もいらっしゃっていただいています。10代の子が、ラムネやハイチューを買って帰ることも多いです。

どのように食材をセレクトされてますか?

私のお店では主に作り手さんの顔が見える日本食材を3〜4社の卸さんから入れています。次にカレーやインスタントラーメン、スナック菓子などは、日本で手に入るものと同じものを条件に、なるべく安いものを探して入れています。日本産以外でも入れることはありますが、試食して美味しくないものは入れません。
地域のフランス人のお客様がうちのお店のメインのお客様ですので、それぞれの商品について、その土地、作り手、歴史をなるべくたくさん知識を得て、お客様へお伝えすることを心がけています。また、例えばお味噌であれば、信州の田舎味噌と九州の米味噌の違いや、その土地柄の違い含めてなぜ九州のお味噌の方が信州のお味噌に比べて甘いのかをお伝えするようにしています。もちろん作り手さんが歴史ある生産者さんであればその作り手さんの歴史もお伝えしています。
日本酒についても作り手さんについてお話をします。何年に創業で、何代目で、どんなお酒を作る酒蔵か。地元のロワールワインの作り手さんのワインを飲むのと同じように、日本の酒蔵さんという生身の人間が作っていることを思いながら日本酒を飲んでもらいたいと思っているからです。

サンナゼールという地方都市ですがパリと比べて、日本食及び日本酒への認知度の違いはありますか?
パリからいらっしゃる方々(別荘を持っている方、休みでいらしている方、最近引っ越してきた方等)は、やはり知識量も多いので、違いはあると思います。ただ、うちのお店にご来店いただくごとに、日本の食文化に触れて帰っていただきますのできた時よりも多くの知識を得て帰ってもらえると思っています。日本酒については、初来店の方の7割くらいの方には「日本酒というのはみなさんが考えている強い蒸留酒ではなく」の口上を述べる必要があります。

日本酒と食材が一緒に買われることはありますか、またどんな組み合わせが多いですか?広部さんのおすすめは?

日本酒と食材を一緒に買われることは少ないです。ただ、お寿司を他店で買ったのでそれと一緒に飲むための日本酒を買いたいという方はよくいらっしゃいます。あとは土地柄、牡蠣や魚介類に合わせて買われる方もいらっしゃいます。ただこれは事前にご存知で購入されるという方は少数派で、ほとんどはこちらの説明を聞いて興味を持たれることが多いですね。あとは食前酒にと購入される方もいらっしゃいます。
日本酒をご存知ない方には、食中酒なら何を召し上がれるのか、そしてワインや他のアルコール飲料の嗜好を伺った上で、狙いを定めて2、3種類試飲をして頂き、選んでいただいています。最初はかなりの数を試飲していただいていたのですが、この頃は嗜好に合わせて3種類に絞れるようになりました。地元のミュスカデ白ワインの好きな方であればスッキリしたタイプ、逆に赤ワインの好きな方であればコクのあるタイプ、赤でも渋めのボルドー好きな方には純米のしっかりしたものをお勧めします。あとは食中酒であれば食べ物に合わせてセレクトしています。
広島のお酒では、ウィスキーをお好きとおっしゃる方、まず盛川酒造の「白鴻四段仕込み赤ラベル」を買って行かれます。もしくは三宅酒造の「神力」です。飲み口スッキリというタイプよりも、こういう味の個性があって深みのあるものは人気があります。

日本酒に合わせる料理などの情報も伝えられていますか?

日本酒に合う料理もなるべくお伝えするようにしています。海沿いの街なので、美味しいお魚との組み合わせを意識しています。スッキリフルーティーなものは牡蠣と合わせていただいたり、若干酸味のあるタイプは脂身の乗ったお魚と合わせていただいたりと。
また、若干甘みがある純米酒は、冷やしてあるとオールマイティーにどんなお魚のお寿司とも合う一方で、燗につけると甘みが増すので、牛肉ステーキや豚肉のソテーなどと試してみてくださいとお勧めしています。

今後について

コロナが落ち着いたら、食に関するサロンなどにも積極的に参加していきたいと考えています。
今後も知識と経験を増やし、生産者の思いを伝えながら日本の文化、特に食文化を伝えていきたいと思います。


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